治験とは、新しい医薬品や医療機器など製品として販売するために行われるデータ収集を目的とする臨床試験のことを言います。治験に関する情報は、医薬品を開発する企業にとっても、治験ボランティアの個人情報保護の観点からも非常にデリケートな情報なので、その内容が広く公表されることは、まずありません。そのため、ネット上では都市伝説というカタチで「人体実験」や「身体を売って稼ぐ」ようなイメージに見られがちですが、そんなことはありません。それどころか厚生労働省の承認申請が円滑に行われ、病気でお困りの方々が新しい医薬品や医療機器を一刻も早く使えるようになる、非常に社会貢献性が高いものです。

治験のメリットとしてまず挙げられるのが、その報酬の高さです。治験の種類により「入院タイプ」と「通院タイプ」がありますが、特に「入院タイプ」の治験の場合、治験期間中スケジュールや各種注意事項など制限された入院生活を送る必要があるため、負担軽減費という名目でかなり高額な報酬が支払われます。その金額は、一般的なモニター活動報酬の比ではありません。また疾患者が対象の治験ボランティアの場合、まだ国内で承認されていない最先端の医療を受けられることができ、さらに治験では特定療養費が適用されるため、治療費の負担額が少なく、負担軽減費という名目で報酬が支払われるため治療に対する経済的負担を減らせるというメリットがあります。

治験では、事前に担当する医師から説明を受けますが、新しい医薬品や治療法を用いるため、その有効性が認められないことがあったり、医師が予想しない副作用が出る可能性が残っています。また、治験薬の場合、有効成分を含まない偽薬（プラセボ）を服用するケースもあります。さらに指定された病院・クリニックで実施されるので治験の内容によっては、かかりつけの病院を変更する必要がある場合があり、普段飲んでいる薬などについても、服用を制限される場合があります。メリットの部分でも説明しましたが、特に「入院タイプ」の治験の場合、治験期間中はスケジュールや各種注意事項など制限された入院生活を送ることになる点もデメリットとして挙げられます。

治験や臨床試験に参加した事が原因で何らかの体の不調が現れた場合は、速やかに試験を実施している医療機関へ連絡するようにしましょう。臨床試験を担当している医師や看護師が適切な処置や指示が出されます。万が一健康被害が発生した場合、開発メーカーによる補償が行われます。

参加した治験の種類にもよりますが、一度治験に参加すると、約3ヶ月～6ヶ月ほど休薬期間（薬の成分を体内から完全に排出させるための期間）が設けられ、その期間中は治験に参加することができません。もちろん、治験の掛け持ちや、他サイト経由で一つの試験への同時参加も認められていません。そのため、治験を案件として取り扱うモニターサイトでは、多重登録に対して厳しく対処しているようです。